活動日誌

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彫刻のある商店街

赤羽駅東口から徒歩3分、「ラ・ラ・ガーデン」の愛称で親しまれている赤羽スズラン通り商店街は、都内でも有数の規模を誇るアーケード式の商店街です。

このほど、2年がかりの「オアシス アート ラ・ラ・ガーデン環境整備事業」が完了し、本日、事業完成報告会が赤羽会館小ホールでおこなわれました。

ララガーデン

この事業は、経済産業省の「中小商業活力向上事業」を活用し、あわせて東京都・北区からの助成を受けておこなわれたものです。

初年度の昨年は、建設から15年が経ち、老朽化したアーケードの改修と、託児サービスの子育てサロン、幼・壮・老が集うコミュニティーサロンとしての機能をあわせもつ「ララちゃんのおうち」の整備がおこなわれました。

そして今年度は、不法駐輪・無謀走行やはみ出し陳列解消のためのコミュニティー道路と駐輪スペースの整備、くつろぎのある空間を演出する彫刻の設置などがおこなわれました。

彫刻は、アーケード内に4つ置かれています。

赤羽駅側から順に、最初の三叉路にあるのが、吉野毅作「懐」と題するブロンズの作品です。

懐

次の交差点、マツモトキヨシの前の角には、安田明長作「Silent Language」が建っています。

黒御影石をピカピカに磨き、見る者をもその作品の中に映り込ませる不思議な物体です。

Silent Language

商店街中ほどにあるダイエー赤羽店前の一角、通称「ポケットパーク」と呼ばれるスペースには、登坂秀雄作「○△□大拙考」が設置されました。

金沢出身の仏教哲学者、鈴木大拙の語る○△□の意、つまり全ての事の始まり、宇宙観の出発点として捉えられる○△□を、御影石の原石の中から掘り出した作品とのこと。

○△□大拙考

そしてアーケード出口付近に置かれたのが、宮澤光造作「プレゼント」です。

花束を抱え、風になびきそうにふんわりとした女の子。とても4トンもある石とは思えない質感が魅力です。

この作品の前には花屋さんがあり、ロケーションもバッチリです。

プレゼント

報告会では、完成報告、来賓あいさつの後に、彫刻作家によるアートディスカッションが開かれました。

4人の作家は、いずれも二科展の審査員を務める芸術家のみなさんです。

写真は左から、司会の小澤浩子さん、宮澤先生、吉野先生、登坂先生、安田先生です。どの先生がどの作品をつくったのか、ぜひ上の写真と見比べてみて下さい。

アート・ディスカッション

芸術家の生の声を聴かせていただいたディスカッションは、とても刺激的でした。

二科会常務理事でもあり、他の3人の先輩、恩師にもあたる吉野先生ですら「二科展では審査する人の作品も、審査される人の作品もいっしょに展示される。自分の作品が、他の作家に見られる時ほど緊張することはない。しかし、この緊張感があるからこそ作家を続けていられるのです」と語ったのは印象的でした。

また、宮澤先生は「彫刻は絵画と違い3次元の芸術。作品は、どの方向から見ても完成していなければいけないが、自信のない角度からのぞかれている時は、その場を立ち去りたくなるくらい恥ずかしい」とおっしゃっていました。

彫刻というのは、答えのない芸術だからこそ、観る側の想像力もたくましくさせてくれるのだと思います。

山口県の宇部市を彷彿とさせるようなストリートミュージアム。またひとつ、ラ・ラ・ガーデンに行く楽しみが増えました。