活動日誌

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企画総務委員会で基本計画・経営改革プラン案について質疑

昨日、区議会企画総務委員会が開かれました。

議題は「令和2年東京都北区区政功労者表彰について」ですが、加えて、以下6点が報告事項となりました。

  1. 「北区基本計画2002(案)」及び「北区経営改革プラン2020(案)」のパブリックコメント実施結果について
  2. 令和2年度組織改正について
  3. 令和2年度職員定数について
  4. 令和2年度 都区財政調整方針(案)
  5. 訴訟について
  6. 新型コロナウイルス感染症に対する対応について

今回はこの中から、基本計画(案)と経営改革プラン(案)のパブリックコメント実施結果について私が行った質疑の内容を紹介します。

計画策定過程にこそ求められる「区民とともに」

今回の計画改定にあたり、北区は事前に3ヵ所での説明会を開催しました。しかし、参加者は、滝野川会館で4名、赤羽会館で9名、北とぴあで10名の、のべ23人にとどまりました(うち7人は、私を含めた日本共産党北区議員団のメンバー)。

今後5年から10年の北区の基本方針を改定するというのに、説明会の周知はホームページと北区ニュースだけ。正直、本気で区民に内容を説明しようという区の姿勢は見えませんでした。

この2つの改定案を策定するにあたり、昨年度は7回にわたって、総勢18人の委員からなる「『北区基本計画2015 』 及び『北区経営改革プラン2015 』 の改定のための検討会」が開かれました。ここに参加した委員のみなさんによびかけるだけでも、もっと参加者は増えたはずです。

初めての説明会の開催は是とするものの、北区が基本姿勢として掲げる「区民とともに」は、計画策定過程にこそ求められるものであり、説明会の周知や運営方法については改善を強く求めました。

欠落している「貧困と格差」の視点

基本計画(案)では、冒頭の「北区の現状と課題」で、日本経済への認識を次のように記述しています。

一方、日本経済は、経済再生を最優先の政策課題に据え、経済政策を強力に推進し広く展開することにより、デフレでない状況をつくり出し、長期にわたる回復を持続させており、GDPは名目・実質とも過去最大規模に達しているとともに、国民生活に密接にかかわる雇用・所得環境も大きく改善しました。今後も、この経済の好循環をさらに持続・拡大するために、さらなる取組みを進めています。

これに対し、パブリックコメントでは、次のような意見が寄せられています。

「これでは忌まわしき安倍政権の主張の部分とこの北区基本計画2020(案)の記述が合体したようになっており、単なる安倍政権への賛美と思ってしまう。何が「経済が長期にわたって回復している」のですか。事態は衰退に向かっているとしか言えない状態です。

区民意見の方がまっとうだと思いますが、これに対する「区の考え方」は、「日本経済の現状と課題について政府の考え方を記載しております」というものです。

私は、昨年10月の消費税10%増税の強行によって、内閣府が示す景気動向指数でも6年9ヵ月ぶりの低水準に落ち込んでいることを指摘し、区民の実感からも程遠い「経済の好循環」などという記述は書き換えるよう要求しました。

政府いいなりの経済認識では、安倍政権の下で貧困と格差が拡大していることや、区民の暮らしの「痛み」はまったく見えてきません。今後10年間の計画策定にあたっては、「貧困と格差の是正」を大目標に掲げ、過去最高に積みあがった180億円の財調基金を、今こそ積極的に区民の暮らし応援に活用すべきではないでしょうか。

ジェンダー平等社会の実現へ、「意識啓発」で留まっていてよいのか

基本計画(案)の「男女共同参画社会の実現」については、たくさんの意見が寄せられています。

主な意見は、「パートナーシップ制度を導入してほしい」、「『セクハラ・パワハラ等の防止 』 に『SOGIハラ』を追記してほしい」、「男女共同参画の推進に、SOGI(性的指向・性自認)に関する支援も明記」などですが、性の多様性への認識が広がり、性的少数者をはじめ、あらゆる人の人権保障が声高に叫ばれていることを反映し、これまでの「男女共同参画の推進」から、一歩前に進んでほしいというのが共通の願いです。

パブリックコメントの意見を紹介します。

基本計画の中で、LGBTを含む性的少数者、SOGI(性的指向・性自認)に関しては、理解・啓発に留まっておりますが、支援策や支援事業を行ってください。既に困っている人達が存在する状態で、知って貰うだけでは明らかに不足しています。今、助けて欲しいと、願っているのです。

こうした意見に対しても、例えば パートナーシップ制度の導入に対して 「区の考え方」は、「性自認や性的指向の多様性への理解を深めるための正しい知識を身につけるための啓発がまず必要であると考えております」となっています。

日本のジェンダーギャップ指数は、世界121位にまで後退しており、とりわけ経済、政治分野での遅れが著しいとされています。男女の賃金格差是正、選択的夫婦別姓制度の実現、性暴力・ハラスメント・女性に対するあらゆる暴力の根絶、LGBT/SOGIの人権保障など、とりくむべき課題は明確です。

区は基本計画について、 国連の持続可能な開発目標 である「SDGsの視点を踏まえた計画」としていますが、SDGsでは5番目の目標に「ジェンダー平等社会の実現」を掲げています。これまでの男女共同参画の推進から、さらにジェンダー平等の実現へと施策を引き上げるべきではないでしょうか。

住民の声に真摯に耳を傾けるまちづくりに

区の説明でも、パブリックコメントで一番意見が多かったのが、まちづくりの分野とのことでした。寄せられた意見を読むと、総じて「区が進めるまちづくりの計画に住民の声が反映されていない」というものでした。

超高層のタワーマンションには規制が必要では

この分野で、私が質疑した一つは、タワーマンション問題です。いくつかの声を紹介します。

川崎市議会の審議の中で、超高層住宅は、高炭素であることが明らかになった。低炭素社会実現のため、タワマン規制が必要。

超高層は、土地の高度利用ではなく、濫用のレベルだ。

高層居住には、高層住宅シンドロームというべきものが学術誌で報告され確定している。タワーマンション建設を制限し、社会保障費が増えないようにすべきだ。

昨年の台風19号では、武蔵小杉のタワーマンションが停電し機能マヒになったことが大きくとりあげられました。経年劣化したタワマンにかかる莫大な修繕経費や、高層であるがゆえの修繕工事の困難性も指摘されています。人口増加抑制のために、タワマン規制に踏み切っている自治体も出ています。

タワマン建設にはこうした具体的なリスクやデメリットも指摘され、区も「認識はしている」が、「区の考え方」は、土地の「高度利用」をうたいつつ、「高層マンションでは、住環境や維持管理面、コミュニティ形成についての特有の社会問題として指摘されていると認識しておりますが、現段階においては国、東京都、他自治体の動向に注視し、調査研究に努めてまいります」というもので、とどのつまりは、「しばらくは静観」というスタンスです。

国や東京都は、規制緩和でさらなる高層化をめざしているので、国や都の動向に従えばタワマン建設促進は避けられません。

実際に北区では、すでに地上20階を超えるタワーマンションが11棟ありますが、今後、十条駅西口市街地再開発では39階建て、赤羽一丁目市街地再開発では30階建てのタワーマンション建設が計画されています。こうした市街地再開発事業を、区は積極的に支援する計画となっています。

質疑では、パブコメの意見のように、高層化に歯止めをかけるタワマン規制についても、住民目線で検討すべき課題だと指摘しました。

十条まちづくりは「まち壊し」?

もう一つは、十条まちづくりに寄せられた意見です。

住民訴訟になっている特定整備路線補助73号線、西口再開発に加え、鉄道立体交差事業と付属街路についても事業認可が迫るなど、十条駅周辺でのまちづくり事業はラッシュを迎えていますが、こうした計画に住民の声が十分に反映されていいない、まちづくりといいながら「まち壊し」になっているのでは、とする意見が多数寄せられています。代表的なものを紹介します。

このような時こそ、勉強会や他地域事例の視察等を行い、区民・利用者参画によるワークショップ等で対立意見を比較しあいながら協議していくことが大切である。北区は東京都に一方的に協力するのではなく、ブロック部会等の場を活用して住民意見を出し合い、住民の立場に立ってできる限りの調整・交渉を進めて頂きたい。

本格化するまちづくりの一層の推進として、十条駅付近連続立体交差事業や鉄道付属街路事業を推進することは、やめてください。この事業の経緯を知るにつけ、全く、区民とともに進められていません。説明会は行われたものの、噴出する反対意見に対して、黒塗りの資料等で、誠実な応答が見られません。十条駅西口の再開発事業についても然りです。こちらは説明会すらなく、進められています。十条という町の本来持っている魅力を生かしたまちづくり事業、スクラップ&ビルドではない修繕的なまちづくり事業も可能なはずです。

十条は住み、眠り、休む日常生活に便利な地域です。補助73号線、十条西口再開発、補助85号線、埼京線の高架化と何百人の住民を立ち退かせるのですか。急激に新しく変える町づくりを急ぐのですか。町会で、この大事な問題を取り上げられることなく、皆様の意見を聞くことはありませんでした。区のブロック部会でも反対者の意見はどうなっているのでしょう。意見を聞く会も何回も開いたというパフォーマンスですか。反対の意見が少なければ賛成者が多いとお考えですか。声を上げない人はこの計画に賛成ということではなく必要がないということです。十条地域に住んでいる子育てファミリー層や若年層が時間をかけて、自分たちの住みやすい十条地域にしてゆくはずです。

十条のまちづくりは、都区が町会長や一部団体の代表だけで構成されるまちづくり協議会、幹事会で説明し、その場で了承され決定されてしまい、一般住民が参加発言できるブロック部会は、単なる住民への通告の場になっているため、住民の意見、提案は全く無視されてきた。

これまでもずっと指摘されてきた問題ですが、こうした声を受けて、まちづくりのあり方を抜本的に切り替える機会が、今回の基本計画の改定だと考えます。

ところが、「区の考え方」では、「十条地区まちづくり全体協議会を中心とした区民主体のまちづくり活動と並行して、区民と区の協働によるまちづくりを推進しております」、「各事業においては、権利者の皆様の理解と協力が得られるよう、丁寧な説明と対応に努めてまいります」と、これまでのやり方を是認し、従来の答弁を繰り返すだけのものとなっています。

率直にいって、住民の声をないがしろにしていることについて、区に自覚がないといわざるを得ません。

基本計画では、住民に立ち退き、商店街に撤退を迫り、自然公園や文化遺跡までつぶす特定整備路線73号線、86号線について、10年の計画期限が切れる2020年度の先、10年延長して完成をめざすとしています。都内各地でも住民訴訟が起こされている道路計画は、この時点で見直しを図り、事業を中止すべきです。

引き続き、まちづくりに住民の声を反映させるために、改善を求めていきます。

経営改革プランの改定について

経営改革プラン2020(案)については、2つの点で質疑しました。

AI導入に向けてガイドラインの制定を

1つは、AI技術の導入についてです。

区は今後、各分野にAIの導入を進めていく計画です。これについは、パブリックコメントで以下のような意見が寄せられています。

AI等先端技術の活用は対人に対しては反対。福祉分野、特に子供に対する分野は人間形成にも反対。

意図するところは、AI技術は便利だが、福祉や子育てなど人の将来を左右する分野に導入するのはどうかということだと思います。私も、昨年の第4回定例会の代表質問で、同じ内容を区に提案しました。

これに対する「区の考え方」は、AI等の導入について検討するとした上で、「人(職員)とAI等の役割分担はとても重要と考えております。AIの特性や人(職員)でなければならないサービス等を見極めながら進めてまいります」というものでした。

私が、AIと人(職員)との役割分担をどう考えているのかと尋ねると、担当課長は「企画や立案の分野は人(職員)が得意とする分野で、 AIは業務の見える化に関する分野や定型的業務に活用していきたい。どの分野を職員が担うべきかはこれから検討していく」と応えました。

私はあらためて、AI導入についてはガイドラインを定め、AIを導入してもよい分野と人(職員)が担うべき仕事を明確にするべきだと求めました。

人口増に対応する施設の拡充を

最後に、公共施設再配置方針、公共施設等総合管理計画に関する区民意見について質疑しました。以下、パブリックコメントに寄せられた声です。

現在の公共施設は減より充実した増加を。全体的区政の有り方は人が住み良いか、悪いかが問題であり、現在不足しているものが多い中でこれから先人口減を見込んでの統廃合はすべきではない。まして北区の場合は人口減ではなく諸事情により増加している事も大きな要素としていくべきでしょう。

これも、この間、日本共産党区議団が繰り返しとりあげてきた問題です。

パブリックコメントではほかに、25館から最大15館まで減らす児童館再編計画(すでに20館まで減少しています)の見直しを求める意見も出されています。

北区ではこの先、総人口で10年ほど、年少人口は十数年増え続ける予測となっています。ところが基本計画(案)では、人口が増えることより、その先の人口減少への対応を強調する内容となっており、公共施設面積を計画策定時から20年間で15%削減する計画目標も、そのままになっています。

上記の意見に対する「区の考え方」の中で、注目すべきは以下の部分です。

公共施設の再配置は区の重要な課題であることから、区では公共施設等を長期的な視点で、総合的・計画的にマネジメントしていくための基本的な方針を示した「公共施設等総合管理計画」を策定しておりますが、人口動向の変化や公共施設の長寿命化等、様々な環境の変化を踏まえ計画の見直しを行う予定です。

つい最近まで区は、議会で何度質問しても、「公共施設削減目標の見直しは行わない」と答弁していましたが、先の第4回定例会代表質問では、「施設削減目標を含めた公共施設等総合管理計画の見直し」に言及するようになりました。今回の経営改革プランの改定案にも、計画の見直しが明記されました。これは重要な変化です。

いま、人口が急増する中で、保育園、学童クラブの増設が追いつかず、毎年のように待機児童が発生している状況です。また、教室など学校施設の不足も懸念されます。こうした中で、施設削減から、施設充実への計画変更が求められます。区民の声にしっかりと向き合ってもらいたいと願うものです。

以上、企画総務委員会での質疑の内容を紹介しました。委員会での論戦をふまえ、私たち日本共産党北区議員団としても、区民要望を反映させた会派意見を提出する考えです。