活動日誌

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補助86号線事業概要および測量説明会

志茂1丁目を横断する都市計画道路補助86号線についての「事業概要及び測量説明会」が、なでしこ小学校体育館で開かれ、参加しました。

本来なら26日と本日の2回予定されていた説明会ですが、26日が台風接近のため中止となり、本日の回に地元住民ら大勢の方々が参加。その数は400人ほどにもなりました。

86号線説明会

最初に、主催者である東京都第二区画整理事務所の神子換地課長からスライドを使った説明がありました。

要点をまとめてみます。

  1. 東京都では阪神淡路大震災の教訓をふまえ、防災都市づくり推進計画を策定。災害時に被災する危険が高い地域を総合危険度でランクづけしているが、志茂1丁目は総合危険度4となっている。
  2. さらに都は、東日本大震災をうけ、(1)不燃化特区、(2)延焼遮断帯となる都市計画道路(特定整備路線)の整備を柱とする木密地域不燃化10年プロジェクトを推進。2020年度までに、木密地域を燃え広がらない・燃えないまちにすることを決めた。特定整備路線は、都内で28区間・約26kmを選定。志茂地区の補助86号線もその中に含まれている。
  3. 86号線は延長約640m、幅員20mとなり、車道部分は片側1車線、往復で2車線となる。志茂地区は86号線整備とともに不燃化特区にも指定される予定である。
  4. 移転が必要になる居住者については土地・物件などについて必要な補償をおこなうとともに、移転費用の貸付、耐火建築物への建替助成など支援のメニューを用意する。11月下旬に、共同化の意思などを確認するための意向調査をおこなう
  5. 今後のスケジュールとしては、来年度に現況測量および用地測量を実施し事業化の手続きをすすめる。事業化が決定したら、用地説明会、用地取得・補償、工事内容の説明、工事着手とすすみ2020年度までに完成をめざす。

補助86号線

平面図

今後のスケジュール

立ち退きを心配して集まってきた地域住民のみなさんに対し「ご心配をおかけします」の一言もなく、淡々と事業説明をおこなう姿勢はきわめて高飛車で、上から目線と感じました。

説明会ではこの後、参加者からの質疑応答の時間となりました。以下、順不同で内容を紹介します。

道路整備の必然性を明確にしめすべき

まず、「延焼遮断帯としての効果がどれほどあるのか」「道路拡幅にこだわらなくても不燃化率を高めることで延焼は防げるのではないか」など、この道路整備計画そのものの必然性を問う質問が出されました。

ある参加者からは、志茂1丁目のコミュニティが分断され、大型車の往来で環境や通行にも支障が出るのではないかと、道路拡幅による弊害を訴えました。

さらに、赤羽西からの参加者は「86号線は線路を越えて反対側にも延びる計画だが、赤西地区では自然観察公園やスポーツの森公園の中を突き抜ける計画となっている。公園という延焼遮断帯があるのに、なぜわざわざその中に道路をつくるのか」と問いました。

都側からは明確な根拠はしめされず、「この地域は危険度が高い。地域の安全安心のために整備する」「道路整備とあわせ、沿道の不燃化を促進することで延焼遮断効果を高めてゆく」などの説明を繰り返すにとどまりました。

他にもっと危険度の高い地域があるのでは

また「総合危険度が高いというが、東京全体では何番目か」という質問に対し、都側は、都内で危険度の高い地域はレベル5が84ヵ所、レベル4が284ヵ所、合計368ヵ所ある中で、当該地域は157番目であることを明らかにしました。

これを受け、「なぜレベル5の地域から着手しないのか」「志茂1丁目より、志茂3~5丁目や2丁目の方が危険度が高いのではないか」「危険度よりもやりやすいところからとの理由で選定したのでは」などの質問が出されました。

都側は「レベル4は危険度が低いとはいえない」「他にも危険な地域はあるが、この地域はもともと防災の整備地域に位置づけられていたので特定整備路線を計画した」などと答えました。

「7年間で完成」はあまりに乱暴

わずか7年後の2020年度までに道路を完成させるとする説明に対しては、「あまりに乱暴だ。人に優しい計画とはいえない」「なぜそんなに早急にやらなければならないのか」との意見が出されました。

都側は「昨年1月に10年間でやると決めた。生活再建にむけての支援も充実させ、ご理解をいただきながら進めてゆく」などとのべました。

住民の大半が反対しても計画を強行するのか

ある参加者は「西ヶ原の81号線については、住民の反対で一部の区間が中止になったと聞いているが、住民の7~8割が反対しても強行するのか」と尋ねました。

都側は、81号線については北区から取り下げの要請があったので、一部区間について修正したとのべながら、志茂地区については「8割、9割が反対ということだと事業が進まなくなってしまう。防災に必要な事業と考えおり、誠心誠意努力するので、ご理解をいただきたい」などと、あくまでも計画に固執する姿勢をしめしました。

つめ寄る住民たち

午後7時に開始した説明会は、「約束の時間ですから」と8時30分をまわったところで終了。まだ質問を求める人が残されている中、「こんな大事な問題を途中で打ち切っていいのか」などの声も出ていました。

説明会が終わっても、納得のゆかない人たちが都の職員らにつめ寄る姿も見られました。

本日の説明でどれだけの参加者が納得できたのかはわかりませんが、東京都が住民に対し、十分な説明責任を果たしたとは到底いえないことだけは、はっきりしていると思います。