2013年10月18日(金) | 活動日誌
外国人の目から見た日本
北・九条の会が中心となった実行委員会主催の「輝け憲法・生かそう9条 アーサー・ビナードさん講演の夕べ」に参加しました。
開会時間ちょっと過ぎに赤羽会館大ホールに到着しましたが、すでに会場は超満員。熱気ムンムンで思わず上着を脱ぎました。
東京北法律事務所・鳥生忠佑弁護士の主催者あいさつに続き、「お郷(くに)ことばで憲法9条」のコーナー。
北海道、秋田、福島、東京(江戸弁)、静岡、大阪、鹿児島の方言で9条を語るという企画ですが、なるほど日本語の奥深さを再認識させられました。
私の故郷は愛知県。といっても方言は名古屋弁ではなく、三河弁です。「ミャー、ミャー」とは言わないので悪しからず。
さて、メイン企画の講演です。まずは、アーサー・ビナードさんのプロフィールを、案内チラシから抜粋して紹介しましょう。
最近はテレビなどのメディアでも大活躍のようです。
日本に来て20年以上になるかと思われますが、まずはその美しい日本語の発音に感心しました。
講演の演題は「それでも『日本の未来』を信じますか?」。
ビナードさんは来日当時、日本人がよく「日本は狭い」と漏らすのを耳にして、ある種の劣等感を持っているのではないかと感じたとのことです。
自虐的ともいえるこの国民性がどこから来るのか。ビナードさんは、高度経済成長期の日本とアメリカとの関係に着目して話を進めます。
日本の高度経済成長は、日本人の努力で勝ち取られたように錯覚されがちですが、実はアメリカによってもたらされたものだと喝破。日本国内で積み増された富は、一定の時期が来るとアメリカが横取りしてしまうという歴史が繰り返されてきたとビナードさんは主張します。
これをビナードさんは「フォアグラ経済」と名付けました。
フォアグラとは世界三大珍味として有名な食材です。その作り方ですが、最初は自由に運動させて基礎体力をつけさせたカモを、次には動けないようにして必要以上にエサを与えることで脂肪肝を人工的に作り出します。そして、食べごろになった頃、カモの腹をかっさばいて肝を取り出すというのです。
高度経済成長時代から今日まで、まさにアメリカが日本にしてきたことは、このフォアグラ作りにそっくりというわけです。
いまアメリカは、日本の経済発展の成果をTPPによって根こそぎ奪い取ろうとしています。
そして、アメリカが握っていて日本国民に知られたくない情報を秘匿するために、秘密保護法までつくらせようとしています。
ビナードさんは詩人として、日本語は美しい言葉だと賞嘆しながら「このままでは何十年か後に、この世界で日本語が使われることがなくなってしまうかもしれません」と警鐘を鳴らしました。
ビナードさんの日米関係の分析は、「異常な対米従属」を日本政治の害悪の1つとして指摘している、私たち日本共産党の考え方と響き合っていると感じました。
お話は予定時間を大幅に超過し、主題である憲法問題まで到達しませんでしたが、その深い歴史分析とユーモアを交えた語り口は、多くの参加者に共感を持って受け止められたのではないでしょうか。
終了後は、気軽にサインにも応じていたビナードさん。ぜひその主張を、メディアを通して広げていただきたいと思います。