活動日誌

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北区公共施設再配置シンポジウム

北区はこの7月、北区公共施設再配置方針を決定しました

今日は、区主催の「北区公共施設再配置シンポジウム」が北とぴあ・ペガサスホールで開かれ、参加しました。

公共施設再配置シンポジウム

花川区長のあいさつに続き、北区の再配置方針検討会会長の根本祐二東洋大教授が基調講演、藤野浩史企画課長が北区のとりくみについて報告しました。

その後、約1時間にわたってのパネルディスカッション。

根本教授がコーディネーターをつとめ、パネリストとして神奈川大学人間科学部教授の南学氏、千葉工業大学工学部助教の倉斗綾子氏、千葉商科大学商経学部専任講師の齋藤香里氏が参加しました。

施設充実を願うのは「わがまま」か

基調講演では、老朽化し、更新需要が増す公共施設について、放置すれば物理的崩壊、無理な借金をすれば財政破たん、社会保障を削減すればサービス低下とシナリオを描き、残された道は「機能を維持して負担を削減する公共施設マネジメント」だと結論づけました。

その中身は、1層=ワンセット主義を捨てて、他市と分担する「広域化」、2層=中核コミュニティ施設を建設し、各機能がテナントとして入る「多機能化」、3層=民間施設を利用し必要に応じて費用を補助する「ソフト化」としています。

根本氏は、結論として「危機的な状況を認識しても、自分だけは今まで通りの公共施設が必要だと主張するのはわがままです」「『難しい』『総論賛成各論反対』『そうは言っても』という言い訳は禁止です」とのべました。

しかし、本当に公共施設を充実してほしいという願いは「わがまま」なのでしょうか。

自転車で隣町まで行けば同じような施設があるからといって、いつも利用している区民センターやふれあい館をなくしてもよいというのでしょうか。

いま、どこの自治体でも保育園が足らず、待機児童問題は深刻化しています。

高齢化率が23区でトップとなった北区でも、特養ホームをはじめ高齢者施設が足りないことは明らかです。

そうした中で、施設の充実を求めるのは「わがまま」であり、施設自体を縮小させることに「ノーというな」という頭ごなしの主張に、かなり違和感を覚えました。

「今後20年で15%の施設削減」―目標の根拠、明確にはしめされず

北区の再配置方針については、「今後20年間で15%の施設削減」の目標がしめされましたが、その根拠は明確にはしめされませんでした。

強いていえば、これまでの施設を維持してゆくのに、今後20年間で年36億円の財源が不足する、というのが理由です。

しかし、北区公共施設白書の資料を分析した限り、この数字はもっと小さくなりますし、そもそもこの数字をはじき出した根拠は明らかにされていません。

北区は「財政が厳しい」といいながら、昨年度は過去最高となる138億円の財政調整基金積み上げています。

いわば、工夫次第では通常のやりくりでまかなえる公共施設の更新財源を、「財政危機」を演出することで過大に見積もっているのではないかという疑問を拭い去ることができませんでした。

北区には、あらためて削減目標の根拠を、明確にしめしてもらいたいと思います。

区民からも厳しい意見が

シンポジウムではパネリストから「北区は先進的に公共施設再配置方針をまとめあげた。問題は、ここから1歩足を踏み出すこと。区民とじっくり話し合っていると進まないから、計画は大ざっぱでもよいので、できるところから具体化をはじめて欲しい」との意見が出されましたが、耳を疑いました。

この間の区のやり方は、はこね荘の廃止・売却にしても、旧北園小跡地の用途転換にしても、なでしこ小学校の複合化計画にしても、区民への周知が二の次にされている感があります。

シンポジウムでは参加者から「お話は机上の空論に聞こえる。区の一方的な情報発信が聞きたいのではなく、区民の意見こそしっかり聞いてほしい」との発言がありました。

私も同感です。

鳴り物入りで開催されたシンポジウム。区の職員や町会・自治会関係者、周辺自治体からも大勢の参加者が来ていましたが、どれだけの人が納得して帰ったのでしょうか。

区民にがまんばかりを押しつける論調に、むしろ一種の胡散臭さを感じた方も多かったのではないかと思います。