活動日誌

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区民生活委員会視察(第2日目・呉市)

区民生活委員会管外視察の2日目は、呉市です。

前日の宿泊地、呉森沢ホテルを午前8時45分に出発、あいにくの雨模様でしたが、徒歩で視察先の「すこやかセンターくれ」に向かいました。

この施設は、保健所と、市役所機能のうち健康福祉に関係する部門とがいっしょになったようなところで、訪れた時にはちょうど市民健診がおこなわれているところでした。

国保事業の医薬費適正化にとりくむ動機

呉市の視察目的は、ジェネリック医薬品使用促進通知サービスについてです。

人口は約24万人、うち国保加入者は約5万5000人ですが、高齢化率が29.3%と聞いてびっくりしました。これは、人口15万人以上の都市の中では全国1位です。

ちなみに23区で最も高齢化が進んでいる北区でも、高齢化率は25%です。

加えて呉市では、病院施設が整っているという条件が存在しています。もともと軍港として栄えた町で、海軍病院が置かれていましたが、現在は、がん専門の国立呉病院、呉共済病院、中国労災病院という大規模総合病院があり、クレアラインというバスに20分乗れば広島大学病院にも行けるという便利さです。

これらの条件から、呉市における1人あたりの医療費は、他市に比べ1.4倍もかかっているといいます。

市では、医療費の適正化を図るために、2008年度からレセプトデータベースシステムを導入。このデータを活用して、ジェネリック使用促進、保健事業の推進、レセプト点検の効率化など健康管理増進の施策をすすめているそうです。

ジェネリック医薬品使用促進通知サービス

ジェネリック医薬品使用促進通知サービスは、医薬品の利用頻度の高い国保加入者に対し、先発薬からジェネリックへの切り替えを勧める通知を発行し、本人の負担を減らすとともに、全体の医療費を削減しようというものです。

レセプトデータから切り替えによる効果が高いと思われる対象者約3000人を抽出し、2ヵ月に1回通知を郵送。ここには、ジェネリックにした場合、どれくらいの費用負担軽減になるかの目安金額も刷り込まれています。

通知開始から3年半となる今年3月の時点では、通知者の77%がジェネリックに切り替え、年間の薬剤費削減効果額は、約3億7000万円になったと報告されました。

ちなみに、精神を患っている方や、がん患者には病気を考慮して通知はしていないとのことでした。

レセプトデータを活用した保健事業

呉市が導入しているレセプトデータベースシステムは、呉市と民間業者が共同で開発をすすめたものとのことですが、このデータはジェネリック促進以外にもさまざまな保健事業に活用されています。

例えば、同じ病気について複数の病院・診療所で診療を受けている受診者をリストアップし、重複を避けるように指導する事業、同じく頻回受診者を洗い出し回数を減らすよう指導する事業、同じ薬を重複して服用している人に注意を促す事業などです。

データベースで、誰がどの薬をどれくらい使っているかがすべて掌握できるため、こうした事業が成り立つわけですが、正直ここまでできるのかと驚きました。

当然、個人情報保護の観点から、プライバシーには十分な配慮がなされ、医療行為をおこなう医師などとは医師会を通じて繰り返し理解を求めてきたとのお話でした。

質疑を終え、お昼前に呉駅前で視察日程を終了。広島駅から新幹線で東京に戻ったのは、午後4時すぎでした。

今回も、視察の内容をよく学び、北区政にどのように活かせるのか研究してみたいと思います。