2012年10月22日(月) | 議会活動
区民生活委員会視察(第1日目・宇部市)
区議会区民生活委員会の視察で、山口県宇部市を訪れました。
日本共産党からは、やまき直人委員長と私が参加、委員会委員と随行の理事者、議会事務局員あわせて総勢14人での視察となりました。
朝9時5分発の飛行機で羽田から山口宇部空港へ。その後、宇部市職員の案内で、昼食をいただくANAクラウンプラザホテルまで移動しました。
まちじゅうが美術館
宇部市は「彫刻のまち」と知られ、市内いたるところに200あまりの彫刻が置かれているといいます。
昼食後の時間を利用して周辺を散歩してみると、さっそくこんな彫刻に出会いました。
「ロンド」と題するこの作品は、ベンチに腰掛けサックスを吹く男性、フルートを演奏する女性、それを見つめる猫という3つの彫刻で構成されています。
この通り、猫の表情が実にいじらしい。
ちなみにこの作品、クリスマスの時期にはサンタクロースの衣装になるとのことです。
通りを1本進んだ先には「メッセージ」と題するこの作品が置かれていました。
マントを被った3人の少女の像。ここからどんな「メッセージ」を受け取るかは、観る人の想像力にかかっています。
宇部市視察の目的は、再生可能エネルギー導入促進事業についてです。
お話しを聞くために、宇部市役所まで専用バスで送っていただきました。
市役所の前にも彫刻が。題して「宇宙」。まさしく、町中が美術館の様相の宇部市内です。
「石炭のまち」から「花と緑と彫刻のまち」へ
さて、市役所内の会議室で、事業についての説明を受けることになりました。
かつて炭鉱で栄えた宇部市ですが、1950年代には石炭を燃やす工場のばい塵被害が広がり、公害対策に力を注ぐことになりました。
“Dust is money”(塵は損害)を合言葉に、産官学民共同でばい塵被害除去にとりくんだ公害対策は「宇部方式」とよばれ、大きな効果をあげ、今では「花と緑と彫刻のまち」と呼ばれるようになりました。
再生可能エネルギーの普及
その宇部市が、現在力を入れてとりくんでいるのが環境対策です。
この間も、2010年度から2021年度の「第2次宇部市環境基本計画」にそって、CO2排出量削減、自転車の利用促進、環境保全協定の締結、宇部志立(市立ではない!)市民大学環境学部の運営、サマー・エコライフ・マイナス15(節電対策)など、さまざまな施策が推進されてきました。
そして、再生可能エネルギーの普及では、小中学校など公共施設への太陽電池パネルの設置をすすめてきたこれまでのとりくみに加え、今年度からは再生可能エネルギー導入促進事業が始まることになりました。
この事業は、企業・NPO法人・個人から広く出資を募ってファンドを設立し、公共施設に再生可能エネルギーを導入するしくみを構築するものです。
出資の規模は2億2千万円で、700Kwを発電できる太陽電池パネルを公共施設に建設。これによって得られる電力を売電し、利益を年1%の利率で出資者に還元しようという計画です。
現在、2回目の公募でファンドを運営する事業者が決定し、来年度から本格的な事業展開が始まるとのことでした。
メガソーラ事業者の誘致
宇部市ではさらに「宇部テクノパーク」という産業団地用の土地を利用して、メガソーラ事業者を誘致するとりくみもおこなっています。
市が所有する土地を提供して、一般家庭300世帯が年間に使用する電力を供給できる巨大な太陽電池パネルを建設する事業者を募集しているとのことですが、1回目の公募には応募者なし。2回目は1社から応募があったものの、土地の貸付金額を大幅に減額せざるを得ず、市議会の理解をようやくとりつけたところとの話でした。
このあたりは、企業側にとっても再生可能エネルギーは、まだまだハードルが高いものなのかと感じさせるところでした。
ときわ公園エコパーク化構想
最後に紹介された事業は、ときわ公園エコパーク化構想です。
ときわ公園は、ときわ湖を中心に広がる189haの広大な公園で、日本の都市公園100選にも認定されています。
エコパーク化構想は、この公園を「環境・芸術・スポーツ・福祉」が融合した先進的モデルの公園にしようというもので、(1)再生可能エネルギーの利活用、(2)新たな地域防災拠点づくり、(3)防災・再生可能エネルギーの学習・体験の場づくりをめざすとしています。
再生可能エネルギー導入の意欲的なとりくみに期待
このように、宇部市では再生可能エネルギー導入のとりくみを意欲的にすすめています。
市民共同のしくみづくりで今後予想されるファンド運営の難しさや、メガソーラ事業者誘致での応募の少なさなど、課題も少なくないと思いますが、全国の先陣を切ってのとりくみに大いに期待したいものです。
午後3時すぎには市役所を後にし、在来線、新幹線を乗り継いで広島へ。2日目の視察先は、呉市となります。