活動日誌

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羽田新ルートが危険なこれだけの理由

本日、赤羽北区民センターにて、航空評論家・元JALパイロットの杉江弘さんを講師に招き、羽田新ルートについての緊急学習会が開かれました。

会場は、この間の試験飛行で低空飛行の危険を察知した住民のみなさんが多数かけつけ、立ち見も出るほどの大盛況(私も最後まで立ち見でした)。参加者は200人を超えました。

最初に、主催者「北区を低空飛行する羽田新ルートの撤回を要求する住民の会」の浅野代表から開会のあいさつ。

そして、杉江さんが登壇。約1時間にわたって、羽田新ルートの問題点を具体的に指摘。その後、会場からの質問にも丁寧に答え、今回の新ルートの重大な危険性を浮き彫りにしました。

非常に重要な内容なので、ポイントを整理して紹介します。

2月2日から試験飛行=確認フライトが始まって、3つのことが起きた。

  1. 初日に練馬区と豊島区の間付近に落下物があった。
  2. 大井町で測定した騒音が80デシベルを超えた。
  3. 世界で初めてとなる3.5度の降下角度でエアカナダ機が羽田に降りられず、成田に着陸。デルタ航空も管制官の指示を受け入れず。

計画から6年、教室型を避け、オープンハウス型で行われた説明会では、さまざまなウソが重ねられてきた。政府の資料は「バラ色」に描かれているが、偽りの内容が満載だ。

落下物、騒音、事故の危険

北区あたりでも、落下物の危険は免れない。飛行機からは、部品、パネル、氷、ブルーアイス(トイレの水)が落下することが避けられない。

国交省は、「落下物の対策は万全」といっているが、やっていることは航空会社に事前の整備計画を提出させるだけ。実際には、安全にかかわるトラブルは年間1000件以上起きている。そのうち、人間によるヒューマンエラーは413件に。パイロットや整備士にかかわるトラブルが増加しているのだ。

今でも整備士不足で引き抜きが行われており、整備士の労働環境が劣悪なことからミスが起きている。

例えば、着陸して次の離陸までに行う機内整備も、JALでは50分、LCCでは25分で完了しなければならない。ベルト直しも機長が手伝ったりする。整備士もこの時間では全部見られないので、ブレーキとタイヤの点検だけで飛び立つことも。

だから国は、落下物を防ぐことはできず、事故が起きたら「補償します」というだけだ。

騒音も、80デシベルに収まるはずがない。着陸時には、スピードブレーキで速度を調整するが、そのときの振動で騒音は避けられないからだ。

空の常識を無視した降下角度3.5度

着陸の際の降下角度3.5度(実際は3.45度)は突然出てきた。世界では、羽田が初めてだ。

飛行機の操縦というのは、0.1度単位で難しくなる。角度が急になれば、しりもちやバウンド、ハードランディングなどの事故が起きやすくなる。世界のパイロット組合も、同じことを主張している。

私は以前に、地上300メートル地点で4つの条件をクリアしていなければ管制官が着陸の許可を下ろさないという「スタビライズド・アプローチ」を取り入れるべきと提案し、これがルールとして確立されてきた。降下角度は4つの条件の中で、いちばん大事なものだ。

今回の新ルートで、このルールを変えてしまうのかと国交省を問いただしたが、答えはなかった。品川出身の国会議員の質問趣意書への回答では、「それは航空会社が決めること」などと答えていると聞いた。

国交省は、運行規則に違反することを黙認するのか。

実は、今回の試験飛行で羽田への着陸を拒否したデルタ航空は、運転が下手だから降りられなかったのではない。その逆で、優れた機長がそろっている会社だ。デルタはスタビライズド・アプローチを世界で最初にやった会社で、安全に対しては絶対に妥協しない。その会社が、3.5度では降りられないといったのだ。

3.5度で降りることを強要するのに、機長はシミュレーターによる訓練もやっていない。いきなり実機による試験飛行で、ものすごいプレッシャーを受けていると思う。都心で事故が起きれば、甚大な2次被害も。こんなルート変更は、絶対に許してはならない。

質問に答えて

このあと杉江氏は、会場からの質問に答えて、さらに解説を加えました。

1つは、世界に例を見ない3.5度の降下角度を強要する原因となったのが、米軍横田基地による「横田空域」によるものだということです。

新ルートが米軍の空域にかかっており、中野の上空は3800フィート以上で飛ばなければならないという条件がつけられたことから、降下角度が3.5度になってしまったとのこと。

ところが国がこのことを隠し、「3.5度になれば飛行が高度になり騒音が緩和される」などと全く逆の説明をしているのは重大だと強調しました。

2つは、確認飛行は何のためにやるのか、ということです。

それは、主に管制官の慣熟のためと指摘しました。新ルートでは、ニアミスが起きやすく、航空機を誘導する管制官にプレッシャーがかかるため、確認飛行で何度も旅客機を飛ばして慣れさせようとしているとのことでした。

デルタ航空のパイロットは、乗客にも通告せず、乗客をそのまま乗せて確認飛行をやるのはよくないと指摘しているそうです。

続いて、日本共産党の山添拓参議院議員が、国会情勢の報告と連帯のあいさつをおこないました。

山添氏は、国会での追及で、航空機の欠落部品(落下物)が2年間で1180個に及ぶことが明らかになったと指摘。新ルートで、これをゼロにすることは絶対にできないと強調しました。

また、今回の問題が、民主主義に反するとして、地元住民や地方議会の声を無視して進めてきたことを厳しく批判しました。品川区では議会で反対決議をあげていますが、国は「これから理解を得る」などといって地元の意向を無視しています。

なぜこんな無謀な新ルートを進めるのかについて、山添氏は、2013年に検討が始まった時に、発足したばかりの第2次安倍政権が「企業が一番活動しやすい国をつくる」と強調していたことを紹介。増便というなら成田空港でも十分余裕があるのに、羽田に集中させるのはビジネス客を呼び寄せるためで、すべてがもうけのために仕組まれたことだと指摘しました。

話の最後に山添氏は、この新ルートを撤回させるために、今からでも大いに声をあげようとよびかけました。

続いて、羽田問題解決プロジェクトの大村究代表から、羽田新ルートの撤回を求めて都内や周辺の自治体で取り組まれている、市民運動の現状について報告がありました。

最後に、主催者から閉会のあいさつがあり、学習会が終了。

緊急出版で、ちょうど本日 発売となった新刊本が会場で売られていたので、購入しました。さらに勉強してみようと思います。

こんな新ルートは絶対に認めるわけにはいきません。本格運行を撤回させるために、北区でも住民のみなさんと力をあわせて声をあげていきます。