2013年9月13日(金) | 活動日誌
アベノミクスは毒矢ばかり
北とぴあで開かれた北区革新懇主催の学習交流会に参加しました。
神戸大学の二宮厚美名誉教授が「アベノミクスは毒矢ばかり 日本経済再生の展望」と題して講演すると聞き、事前にレジュメを見せていただいたところ、難しい経済用語がズラリ。
「かなり難しいお話かな~」と心配しましたが、実にわかりやすく、得心のゆく内容でした。
細かいことはいろいろとありますが、一番なるほどと思ったのは、ごく少数の富裕層と圧倒的多数の貧困層(二宮先生はアメリカで起きた運動に例え「1%vs99%」と表現していた)との「絶対的対立」の下で起きている矛盾がデフレ不況であり、アベノミクスはこの矛盾を解決するのに、まったく的外れだということです。
新自由主義路線、言い換えれば市場万能論や市場原理主義を横行させれば、必然的に格差と貧困がもたらされます。
どんな統計を調べても、1997年以降、家計所得が落ち始めています。97年の平均所得は約467万円。現在はそれより60万円ほど下がっていて、月に直せば約5万円も所得が減っているのです。
GDP(国内総生産)の約6割を占めるのが家計消費。デフレ不況を打開しようと思ったら、家計消費を増やすこと。つまり、賃金をあげ、所得を増やす手立てが不可欠です。
ところがアベノミクスは、家計消費を増やすことだけはやらない。だから空振りに終わることは、はっきりしているというわけです。
では、アベノミクスは何をやろうとしているのか。
第1は、異次元の金融緩和。しかし日銀はマネーサプライをコントロールできず、通貨供給はバブル性を帯びて、内需活性化には結びつきません。
第2は、財政出動。公共事業で潤うのはゼネコンなど大手企業だけで、消費デフレは解決できません。
第3は、成長戦略。安倍首相は「日本を世界で一番企業の活動しやすい国にする」といったが、語るに落ちるとはこのこと。外需依存・投資主導成長で企業天国化をすすめれば、その一方で労働地獄が広がります。
しかも、自動車・電機という2枚看板がゆきづまるもとで、原発の輸出で外需の立て直しをはかろうという動きが急速に頭をもたげてきています。
ここまでくると、講演の表題である「アベノミクスは毒矢ばかり」という意味が、ストンと腑に落ちます。どことなく怪しく、その効果は疑わしいのに、多くの人に景気回復への期待を抱かせてしまう「アベノミクス」。その正体がわかれば、恐るに足りずです。
今日のお話を、真に国民が主人公となる国づくりや、議会での論戦にも生かしてゆきたいと思います。