2013年1月14日(月) | プライベート
愛のクライスラー
東京オペラシティーコンサートホールで開かれた千住真理子ヴァイオリン・リサイタル「愛のクライスラー」を鑑賞しました。
今回は新譜発売記念ということで、オール・クライスラー・プログラムでした。
- ウィーン奇想曲
- 美しきロスマリン
- プロヴァンスの朝の歌<クープランの様式による>
- 羊飼いのマドリガル
- ロンドンデリーの歌
- ジプシー奇想曲
- カヴァティーナ
- エピソード
- ジプシーの女
- 道化役者
- おもちゃの兵隊の行進曲
- 才たけた貴婦人<クープランの様式による>
- 祈る女<マルティーニの様式による>
- 愛の悲しみ
- 真夜中の鐘 ~ホイペルガー「オペラ舞踏会」より
- ウィーン狂詩的小幻想曲
- アロハ・オエ
- 愛の喜び
休憩
アンコール
休憩をはさんで前半と後半で8曲ずつ、アンコールの2曲を加えて、新譜「愛のクライスラー」に収録された全曲の演奏となりました。
リサイタルの全曲をクライスラーで埋め尽くすという試みは、千住さんたっての希望とのこと。会場によっては「他の作曲家の曲も弾いてほしい」とリクエストがあるそうですが、今回は最初から最後まで、文字通りクライスラー一色でした。
クライスラーといえば、「愛の喜び」「愛の悲しみ」「ウィーン奇想曲」の「ウィーン3部作」など軽やかなワルツの調べで知られた名ヴァイオリニスト。千住さんは名器ストラディヴァリウス「デュランティー」で、時に陽気に、時に憂い、時に哲学的な神妙さをもってクライスラーの旋律を奏でてゆきました。
「忘れられた作曲家の作品」と称して発表した作品が、実は自作の曲だったことが後に判明することもあったというクライスラー。今回のプログラムでも「~の様式による」と付された作品がそれにあたるということでした。
さて、昨年12月に発売された新譜「愛のクライスラー」を会場で買い求め、自宅に帰って余韻に浸りながら聴きました。
千住さんは、やはりオール・クライスラーのアルバム「美しきロスマリン」(1997年)を以前に発表していますが、これと聴き比べるのも楽しいものだと思います。
1曲目に収録された「愛の喜び」を聴き、はっとしました。
これまでの演奏は、少し弾き急いでいるような印象を受けていましたが、今回の録音ではゆったりと溜めをつくった弾き方に変身。余裕と貫録を感じさせる演奏です。
私がこの曲を初めて聞いたのは、アイザック・スターンのCDででしたが、ウィーンの香りをプンプンと匂わせた旋律に、まさに愛の「喜び」を感じたものです。
今回の千住さんの録音は、そのアイザック・スターンの演奏を彷彿とさせるものでした。そういえば、2001年にアイザック・スターン氏が亡くなった時、日本で放映された追悼番組で師の思い出を語っていたのが千住さんでした。
コンサート終了後には、例によって千住さんのサインをいただきました。
今後しばらくは、クライスラー漬けになることと思います。