2012年5月26日(土) | 活動日誌
十条駅西口再開発を考える
NPO法人区画整理・再開発対策全国連絡会議のよびかけで、東京23区再開発交流会が開かれ参加しました。
今回は、十条駅西口再開発に焦点をあてながら、都内と周辺各地でおこなわれている再開発事業についての経験交流がおこなわれました。
まずは十条駅に集合し、再開発が計画されている地域を見学。「再開発を見直す会」のみなさんの案内で、十条銀座商店街やその周辺の地域を見てまわりました。
路地に入ると、まさに木造民間住宅の密集地域。このあたりにも再開発に反対するポスターやステッカー、のぼり旗などが目立ち始めてます。
都市計画道路補助73号線の計画地上に建てられたアパート。立ち退きの強制に反対してか、横断幕がかかげられています。
このあと、上十条区民センターに場所を移し、交流会がおこなわれました。
十条駅西口再開発をめぐっては、さまざまな問題点が指摘されましたが、私なりに気づいた点をまとめておきます。
地権者の財産は守られるのか
今回の計画では、90人ほどの地権者(土地所有者・借地権者)の土地が、超高層マンションの床と交換されることになりますが、平均の権利変換率が96%となっています。
権利変換率とは、従前の建物面積に対する新しい再開発ビルに割り当てられた床面積の割合のことです。平均で96%ということは、再開発前より床面積が小さくなるということです。
参考資料の「権利変換率の分布」グラフを見ると、従前の面積が約300㎡の店舗で権利変換率が約50%というものもあります。広さが半分になってしまうということです。
これで本当に再開発後の生活や営業が成り立つのか疑問に感じました。地権者の財産が不当に損なわれないようにしなければなりません。
再開発事業で得をするのはだれか
仮に地権者の財産が切り縮められるとすれば、再開発で得をするのはだれかという問題が出てきます。
今回の再開発には、準備組合の段階から「参加組合員」という名前で新日鉄都市開発、東急不動産、戸田建設、前田建設工業、日本設計(コンサルタント)などの企業が参入しています。完成する再開発ビルは総戸数約500戸のうち、地権者に渡る約40~50戸をのぞいた残り440~450戸が、これらの企業によって分譲されることになります。
計画説明の資料には「売れ残った場合でも組合側にリスクはありません」と書かれていますが、逆にもうけが出た場合は企業の利益となります。交流会では、専門家から「資料から推定しても、40億円はもうかる仕組みのようだ」との発言もありました。
北区も敷地面積の約1割を所有する最大の地主であり、計画には多額の出資もします。自治体もまきこんでの再開発で、大手企業だけがもうけを享受するようなことがあってはならないと思います。
37階146mの超高層が本当に必要か
超高層建築がまちづくりに及ぼす影響も看過できません。
私は交流会のあいさつの中で「一つ超高層マンションが建てば、次から次へと同じような建物が建ち並ぶようになり、街の姿が一変してしまうことは、赤羽を見れば明らか。低層の住宅街という十条らしさを壊せば、お年寄りや学生が住めない街になってしまいます」と述べました。
大きな地震も予測される中、高層一辺倒のまちづくりでよいのかも考えどころです。
周辺住民のみなさんの声を大切にしながら、十条駅西口再開発がこのままの計画でよいのかどうか、再検討することが必要ではないでしょうか。