活動日誌

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企画総務委員会視察(第2日目・北九州市)

第1日目の視察の後、大野城市から特急ソニック号で小倉駅に向かいました。

北九州市内のホテルで宿泊し、第2日目の視察先は北九州市立文書館となります。ホテルからはタクシーで10分足らずで到着しました。

文書館

この施設での文書管理業務を調査することが、視察の目的となります。

まずはざっと、文書館について紹介しておきます。

施設設置の目的は、歴史的文化的価値を有する公文書や郷土の歴史に関する文書などを保存し、市民の利用に供することです。

設置されたのは1989年11月。やはり当時の市長からのトップダウンでプロジェクトが開始されたそうです。

鉄筋コンクリート地上3階、地下1階、延床面積2,494㎡の建物に、約13万6,000点の文書が収蔵されているとのこと。

文書は主に、歴史的文書と情報公開用文書に分かれており、情報公開請求は2008年ごろから急増しているそうです。

市役所本庁舎から近く、一定のスペースを確保できるという条件で今の場所に文書館をつくったとのことですが、すでに書庫は飽和状態に近く、あと2、3年もつかどうかとのお話でした。

パンフレット表

パンフレット裏

館長から説明を受け、質疑のやりとりの後、さっそく館内を見せていただくことにしました。

まずは2階の閲覧室です。ここでは市が発行した刊行物や統計、市史などの文書が自由に閲覧できるようになっています。

閲覧室

奥まったところにある部屋は、マイクロフィルムの閲覧室でした。

門司新報や旧市議事録など、かなり古い文書がマイクロフィルムに記録されていますが、この機械にかけて1枚1枚めくるように閲覧することができます。

その他、文書だけでなく、写真(思い出写真館)やパネル、レコード、カセットテープ、CDなども保存してあるとのこと。

マイクロフィルム

閲覧室を出て、奥の部屋は一般市民が立ち入ることのできない作業室でした。

私が生まれた年、1963年に5市が合併してできた北九州市は、今年市政50周年を迎えました。

現在、北九州市の50年史を編纂する事業がすすめられており、この文書館の職員も動員されているとのこと。

この作業室では、50年にもわたる市政の貴重な資料が山積みにされ、まさに市史編纂の作業がおこなわれているところでした。

市政史編纂作業

続いて、歴史記文書が収蔵してある2階の書庫に案内していただきました。

ここは普通の利用者は入れない場所ですが、所狭しと並んだ書庫に文書がズラリと並べられていました。

職員のお話では、たくさんの文書が収蔵されているものの、まだきちんと整理されておらず、貴重な歴史的資料も隠れた宝の山状態だそうです。

歴史文書庫

机の上に置かれていた風呂敷をほどくと、中から出てきたのは額に入った一枚の感謝状でした。

実はこれ、大隈重信の直筆による歴史的文書の一つなのです。

もともとこの地には明治時代、官営の八幡製鉄所が操業されていたのですが、製鉄所を建設するための土地を提供してくれた地主に対し、当時農商務大臣だった大隈重信がしたため送ったのがこの感謝状だったのです。

大隈重信の感謝状

続いて1階の文書課資料の書庫に移動。ここでは、市役所の文書課で扱っているが収容しきれない現用文書を預かっているとのことでした。

段ボールに詰め込まれた文書が秩序良く並べられていました。

現用文書庫

最後に、1階のホールにご案内いただきました。

ここには歴史的文書の一部が展示されているほか、情報公開請求と個人情報保護請求の受付窓口も置かれています。

これで視察は終了となり、館長ら職員の見送りを受けながら、文書館を後にしました。

ホール

さて、今回の視察のまとめです。

情報公開のニーズが高まるもとで、こうした公文書館を持つことは意義あることだと思います。

しかし、その役割に比して、市政における文書館の位置づけは決してふさわしいものではないように感じました。

説明にあたった館長は、やりたい仕事はたくさんあるが、なかなか思うに任せない条件があると正直に話してくれました。

たとえば「行革」の要請。市からは、なるべく施設にお金をかけたくないので、指定管理者に委ねられないかと打診されているそうです。

また職員についても、本来なら学芸員などの専門家を配置したいのだが予算がつかず、歴史的文書の整理に元教員の嘱託職員を使っているという事情。

日常業務として情報公開請求への対応に追われる中、50年史編纂の作業も割り込んでくるなど、館長のご苦労には心底同情してしまいました。

情報機器や記憶媒体の進化をふまえてデジタル化への移行も課題にあがっているそうですが、情報審査会ではIT技術の脆弱性が指摘され、原本保存の原則は引き続き維持されているとのこと。

数年後には収蔵スペースもなくなるという現状に、館長の悩みはさらに深くなりそうです。

小倉駅

というわけで、2日間にわたる視察も全日程を終了。お昼を前に、小倉駅で無事解散となりました。

それにしても、今や100万都市にまで発展した北九州市。小倉駅周辺は大都市の雰囲気を感じさせます。

写真は、前日の夜、夕食後に撮った小倉駅です。

今回は見る暇がありませんでしたが、小倉城や勝山公園など、次に訪れる際にはゆっくり町並みを楽しんでみたいと感じながら帰途に着きました。